7/29(金)ご講演

スプツニ子!先生 (MITメディアラボ、現代アーティスト)

ご略歴

 インペリアル・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)数学科および情報工学科を卒業後、英国王立芸術学院(RCA)デザイン・インタラクションズ専攻修士課程を修了。在学中より、テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた映像、音楽、デバイス、写真、パフォーマンス作品を制作。主な展覧会に、「東京アートミーティング うさぎスマッシュ」(東京都現代美術館、2013)、「Talk to Me」(ニューヨーク近代美術館(MoMA)、2011)など。2013年よりマサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ 助教に就任し Design Fictions Group をスタート。

 

ご講演要旨

 アイディアはどこからやって来るのか? そのアイディアをどのように広げ、どこに、どう繋げてゆくのか? 農業生物資源研究所の開発したクラゲや珊瑚の遺伝子が導入された蛍光シルクを使い制作した西陣織のドレスや、瀬戸内国際芸術祭 豊島八百万ラボ(2016)の作品などの話を通して、作品たちが生み出される過程、そこから発生する新たなる価値観などを具体的にお話します。 また、科学とアートとの関係性や、今後双方がどのように変化していくべきかにも言及。「科学を表現する」とは? アートの分野から科学のあり方について考えてみます。 分野を超えて表現すること、枠に囚われないことの重要性と素晴らしさをお伝えします。

7/30(土)ご講演

村松秀先生 (NHK 編成局 コンテンツ開発センター チーフ・プロデューサー)

ご略歴

 1990年、東京大学工学部卒、NHK入局。以来「ためしてガッテン」「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」など科学系番組を主に制作。また「すイエんサー」「マサカメTV!」「迷宮美術館」「サイエンスアイ」「世界わんわんドキュ」等、多数の新番組の開発に携わってきた。さらに、NHKの科学番組を集めた一大フェスティバル「NHKサイエンス・スタジアム」なども企画。現在はコンテンツ開発センターで「世界ネコ歩き」「発掘!お宝ガレリア」「コリドールラボ!!」等を制作しつつ、特番や新規番組開発を担当する。「生殖異変~しのびよる環境ホルモン汚染」で放送文化基金賞最優秀賞、地球環境映像祭大賞、科学技術映像祭内閣総理大臣賞、「史上空前の論文捏造」でバンフ・テレビ祭最優秀賞、著書「論文捏造」(中公新書ラクレ)等で科学ジャーナリスト大賞など受賞多数。他の著書に「女子高生アイドルは、なぜ東大生に知力で勝てたのか?」(講談社現代新書)「生殖に何が起きているか」(NHK出版)など。

 

ご講演要旨

 「科学と社会のかけ橋としてのテレビ番組」

 演者は公共放送のディレクター・プロデューサーとして、科学系番組の制作に長年携わり、「すイエんサー」「ガッテン」のような番組から、「NHKスペシャル」や「クローズアップ現代」まで、硬軟様々な科学番組に取り組んできた。一方で、科学一辺倒ではなく、なるべく多様なジャンルの番組にもチャレンジしてきた。中でもアートは、「アートナビゲーター」の資格も有するほど、科学以外での自身の重要な柱で、アート関連の番組を制作する機会もたびたびあり、現在もいくつかの企画が進行している。

 そうした立場で今回の「科学を表現する、科学で表現する」というテーマを聞いたとき、少々自身の足元を見つめ直さねばならない思いがしたことを正直に述べておきたい。それはおそらく、「科学を表現するメディア」「科学で表現するアート」とはいったいどんなものなのか、という根源的な問いだったのだと思う。多くのメディアが扱うのは科学というより科学の「情報」であり、それは科学を表現するのとはやや異なる可能性がある。また、科学を表現する、という視点自体が、そもそも科学とは距離のある視聴者の感覚とズレが生じている可能性もあるだろう。さらにアートでも、科学で表現する、というのはすなわち、科学がツールであることを意味しているようにも聞こえる。

 こうしてみると、科学とはそもそもなんなのか、社会の中で科学はどうあるべきか、という問いと通底していることを改めて思う。拙講では、当方がこれまで制作してきた科学系番組やアート番組の変遷と、番組制作への考え方などを述べつつ、科学と社会のかけ橋としてのテレビ番組の価値について語ってみたい。

7/31(日)ご講演

標葉隆馬先生 (成城大学文芸学部 専任講師)

ご略歴

 2006年3月:京都大学農学部応用生命科学科 卒業

 2011年3月:京都大学大学院生命科学研究科博士課程修了(生命文化学分野)

 2009年4月-2011年3月:日本学術振興会特別研究員(DC2:科学技術史・科学社会学)

 2011年3月-2015年3月:総合研究大学院大学先導科学研究科「科学と社会」分野・助教

 2015年4月-現在:成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科・専任講師

 ※その他、こまごまと色々やってます。
 

ご講演要旨

 本発表では、「科学を表現する」と「科学で表現する」という二つのテーマを架橋するというテーマを念頭に、「科学を伝える」という営為をコミュニケーションとメディアの二つの視点から見ていくことにする。 「科学者が伝えたい」と思う事柄と、「一般の人々が知りたい」と思う事柄は必ずしも一致しない。この事は、科学技術をめぐるコミュニケーションを考える上で、繰り返し指摘されてきたものの、認識が十全になされてきたとは言い難い。また、2001年の第二期科学技術基本計画などを皮切りに、過去15年に渡り研究者に推奨されてきた科学コミュニケーション活動においても、「科学者が伝えたい」と思う事柄が優先されてきた側面への反省もまた必要な時期に来ているだろう。ここでは、再生医療を事例として、「科学者が伝えたい」と思う事柄と、「一般の人々が知りたい」と思う事柄の実際のズレを紹介し、議論の土台としたい。 加えて、科学に関わるコンテンツの流通において強力な役割を持つマスメディアについて、雑駁ではあるものの、いくつかの事例を元に所感について共有させていただきたいと考えている。